天下の朝日新聞『落日新聞』へ転化の道①

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「天下の朝日新聞」、「日本のクオリティペーパー」…覚えているだろうか。かつて朝日新聞はこんな風に称されたものだ。政治、社会、教育、論壇への影響力、ブランド力、給料水準は他紙の追随を許さなかった。ところがネット社会への移行、メディア不況、部数減、何より度重なる不祥事によってかつての権威は失墜した。もっともこのように朝日新聞が論評の対象になっていること自体が未だに「権威」を保っている証左とも言えるだろうし、保守層からの根強い批判も「存在感」の裏返しだろう。しかし想像以上に朝日は窮地にあるようだ。朝日から落日へ…それは誰よりも朝日新聞社員が痛感しているに違いない。

アンチ個人情報保護⑬ 個人情報保護法が惹き起した ベネッセ個人情報流出事件

アンチ個人情報保護法 シリーズ記事

大きな個人情報流出事件として知られるヤフーBB顧客情報漏洩事件とベネッセ個人情報流出事件は、流出した個人情報の件数が多かったというだけでなく、別の意味でも非常に特殊な事例である。なぜなら、企業が全ての「被害者」に対して企業自らが個人情報が漏洩したことを通知したからだ。

これは非常にまずい対応であった。ヤフーBB顧客情報漏洩事件の頃は、まだ個人情報保護法が施行される前のことであったが、それでも5件の訴訟が提起された。ベネッセの対応はヤフーBBの事例に倣ったものと考えられるが、個人情報保護法をはじめとする様々な個人情報保護制度が存在する現在では、まるで「訴訟を起こしてくれ」と顧客に触れ回るようなものだ。その結果、何人かの弁護士がハガキが届いた個人に対してベネッセに対する訴訟の提起を呼びかけ、約2200人という集団訴訟が提起された。