政治団体「日本誠真会」党首で歯科医の吉野敏明氏の政治活動、医行為に対して批判が高まっている。吉野氏といえば参政党のボードメンバーを解任された後、2024年10月に日本誠真会を設立。「誠意と真実と敬い」という理念に共鳴した保守層から期待されたが、実際は政治主張というより健康セミナーのようだ。その手法は昭和・平成で流行った健康食品のバイブル商法を彷彿とさせる。(写真は昨年11月山口県の街頭演説)
鍼灸漢方医の11代目?歯科医なのに内科も担当?

昭和・平成期にあったバイブル本、バイブル商法を覚えているだろうか。「〇〇でガンが消えた」「●●で糖尿病がみるみる治った」などと謳ったタイトルの書籍で特定の健康食品に誘導させる商法だ。おおかた巻末には「現代ガン治療研究会」「生活習慣病予防の会」といった団体の問い合わせ先が掲載され、連絡すると高額な健康食品、または高額な自由診療(保険外診療)を勧められる。現在は健康増進法65条で虚偽誇大表示が禁じられバイブル本は姿を消した。
バイブル本が隆盛の頃は医師が書籍の監修に立ち特定の健康食品を宣伝したが、薬事法違反で逮捕される事件も発生。2003年に健康増進法が制定されたことで劇的にバイブル商法は減少したが、それでも高齢者をターゲットにした催眠商法、ハイハイ商法などに姿を変えた。(※日用品、食品などの粗品で主に高齢者を集め高額な健康食品や器具を購入させること)
日本誠真会・吉野党首の活動スタイルからバイブル商法、催眠商法を感じないではいられない。このような疑問は元支援者らからも噴出している。昨年12月12日、吉野氏が院長を務める「銀座エルディアクリニック」で診療を受けた藤田昌彦氏と誠真会党顧問・南出喜久治弁護士が記者会見を開き、吉野氏を医師法違反の疑いで東京地検特捜部に刑事告発したことを発表した。
関係者によれば藤田氏は心臓疾患を患っており、昨年7月に銀座エルディアクリニックを訪れた。内科医がいないにも関わらず吉野氏が診療したがもちろん具体的な措置はなし。一方で自由診療によるインプラント治療を勧められた。吉野氏は日々、YouTubeなどでガン予防などを説いているが、難病治療をフックにした歯科治療への誘導という疑いがある。
なお告発者の一人、南出弁護士は長年、保守論客としても活動し「真正護憲論」(憲法無効論)を提唱した人物。吉野氏が評価し党顧問に迎え入れた。しかし吉野氏が「鍼灸漢方医の11代目」などと自称したことや違法な医療行為について南出弁護士が注意したところ、党顧問を解任。同じく吉野氏の運営に疑問を持ち問題提起を続けた木原功仁哉弁護士に対し同党は12月7日に除名処分を通知した。これに対して木原弁護士は昨年末、除名処分の無効を求め吉野氏を提訴し戦う構えだ。

南出、木原両氏ともに吉野氏が政策ではなく疑似科学的な健康情報ばかりを発信していること、また専門外の医行為について諫めてきた。しかし吉野氏の対応は〝排除〟。一方、自身に寄せられた批判に対して同党Webサイト上で吉野氏は当党および党首に関する事実無根の情報への対応についてと反論。だが現在、突き付けられた疑問に対する回答にはなっていない。
寄付金残り1億円の使途は?
日本誠真会は昨年の参院選で比例区の吉野氏、木原氏を含め12人が立候補。当初45選挙区に候補者を立てるという目標を立て2億円の寄付を集めた。だが1億円近くが余る結果となったが、その使途について吉野氏から明確な説明はない。会計責任者が参院選大阪選挙区から出馬した妻、吉野純子氏という点でも不信感が募る。
「今思えば選挙というアドバルーンを上げて寄付金を狙っていたのではないでしょうか。集会でも四毒抜き(小麦・植物油・乳製品・砂糖)や生活習慣病の話ばかりでした。それどころか昨年11月29日、東京で開催された『正統皇室典範・正統憲法の復原を求める国民大集会』でも吉野氏は自分の挨拶の直前にやって来て終わるとそそくさと帰っていきました。集会のパンフレットには吉野氏の顔写真も掲載されているのにですよ」(支持者)
それでも熱狂する信奉者がいるのが不思議だ。
もともと吉野氏は南出弁護士の真正護憲論に賛同して党を立ち上げたのは先述した通り。
「2024年7月16日の名古屋例会で〝真正護憲論を基軸政策にする。約束を違えたら殺されてもいい〟とまで言ったのに参院選の公報でも憲法問題は書かれませんでした」(木原弁護士)
参政党が日本人ファーストを打ち出して参院選で成果を挙げた。しかも左派の反差別団体、共産党員からも激しい攻撃、妨害を受け街宣を続けている。一方で吉野氏からそうした熱量を感じない。
実際は吉野氏の個人商店に堕している。言うなれば参政党も神谷氏の個人商店という批判もあるが、しかし参政党の場合は参院選で躍進しており、次期総選挙でも台風の目になるとの予想だ。参政党の場合、実績がある元自民党議員を積極的に受け入れ拡大を進めている。こうしたやり方は無論、賛否があるのは当然だ。しかし曲がりなりにも参政党は党勢拡大に努めているが、誠真会からそんな熱を感じない。
「1回5万円で合計6回の吉野塾を受講しないと公認を得られないとか明らかにおかしいです。やる気がある候補者を集めて欲しいから寄付したのに…」という元支持者の疑問も当然だ。
集金スタイルは古巣、参政党のDIYスクールとも酷似する。参政党も勢いがあるが、同時に離党者も少なくない。その不満の一つが集金問題だ。興味深いことに参政党の資金集めと吉野氏が〝四毒抜き〟を強調することは因果関係があるというのだ。
四毒抜きは新規ファンの獲得ツールか

吉野氏は食生活から小麦・植物油・乳製品・砂糖を除く四毒抜きを提唱してきた。参政党員も同様に小麦食などを批判してきたが、神谷宗幣代表自身が堂々と巨大ピザを掲げる光景は失笑されたものだ。
こうした有口無行は吉野氏も同様。昨年11月24日、山口県内で開催された街頭演説で吉野氏は例によって小麦食の弊害を訴えた。
ところが仮面の告白があると切り出した上で「回転寿司でカキフライを食べたら体調を崩した。パン粉が入っている、油が入っている一番ダメなものを食べてしまった」というのだ。発言は42分頃から。
聴衆たちは何の疑問も感じないのだろうか。カキフライを食べたことを軽口、冗談として受け止め笑って聞いている。「小麦食は戦後、アメリカが押し付けた」と吉野氏は訴えてきた。これまでの主張が成立しない上に大きな矛盾だが、笑い話で済ませている。
「大阪では妻、純子氏がカフェオーレを飲んでいました。乳製品は四毒ではないんですか(笑)」(前出元支援者)
仮に党内で吉野氏に疑問を呈したら排除が始まるだろう。しかしそれでも吉野氏は四毒抜きと言い続けなければいけないのだ。
誠真会元関係者はこう明かす。
「誠真会には参政党DIYスクール経験者や元党員も参加することがあります。こうした人々は参政党流の集金システムに懲りているし、そのやり方もよく理解しているのです。吉野氏の手の内もミエミエでしょう。それならば政治問題よりは健康情報、生活情報に敏感な新規ファンを集めたいのです。四毒抜きとはこうした層に最も響くフレーズだから連呼し続ける必要があります」
四毒抜きに関心を持った人々は吉野氏の医行為の顧客(患者)にもなり得る存在だ。まさに令和のバイブル商法である。誠真会内でも問題意識を持つ党員が改善を促そうと周囲に働きかけているというが…。
「吉野氏の問題点を説明するのは難しいです。特にネットに疎い高齢者の場合、吉野氏の主張しか耳に入ってこないしまた批判意見などには一切、耳を貸しません」(現役党員)
高齢者がカモの辺りもバイブル商法と酷似か。



