DS、神真都Q、反ワクチン、親ロシア… 保守派 に底流する 「陰謀論」は“サプリ” だった!

カテゴリー: 社会 | 投稿日: | 投稿者:
By 三品純

「福島沖地震(3月16日)はDS(ディープステート)が起こした人工地震」「プーチン大統領はDSと戦う光の戦士」「ワクチンはDSの殺人兵器」。コロナ禍、ウクライナ侵攻下で巷に氾濫する陰謀論。それは特に「保守派」「右派」に膾炙しているようだ。かつて左派が信奉した陰謀論はの根底に「反米」があるが、右側のそれは政治イデオロギーというよりも一服の清涼剤? あるいは「皮肉にもサプリメントですよ」(関係編集者)という表現は保守‐陰謀論の親和性を理解してもらえるだろう。

影響されやすい人は 左右を横断する

五島勉、宇野正美、広瀬隆、落合信彦—―。古書店のワゴンセールにひっそりと佇むかつてのベストセラー本。典型的な陰謀論本である。一種のエンターテイメントであり、振り返れば自己啓発の側面もあった。恥ずかしくも著者がライターを志した萌芽に少なからず影響を与えた。その過去は内心、あくまで人生の通過点と総括している。

これら著作はチェルノブイリ原発事故、あるいは湾岸戦争、ソ連崩壊、80~90年代の社会不安の中で少なからず一種の「回答」になっていた。「ユダヤ陰謀論」とも密接につながるこれら著作だが、一定の年齢になると周囲から「荒唐無稽」などと揶揄されたものだ。しかしこれら陰謀論本は思想的、または主義主張が空白の青年を傾倒させる迫力と活字に向かわせるエンターテイメント性に満ちていた。

広瀬隆氏で印象的だったのは福島原発事故以降、専門家として復権したことだ。原発をめぐる同氏の主張はかつて日本科学者会議からも批判が起き、原発問題では「過去の人」であったはずが、図らずも福島で再び脚光を浴びた。

脱原発派からも懐疑的な眼が向けられた広瀬氏が事故当時、支持された背景には80年代の原発関係本を知らない世代、また非読書階層、表現は悪いがいわゆる“ にわか”の存在がある。残念ながらこうした層は自己主張の強さほど判断力はない。つまり非常に影響を受けやすい人々である。

この層は「反TTP」「電磁波批判」とも親和性がある。面白いことに電磁波批判の集会ではスマートフォンの電磁波を恐れながら、自身もスマートフォンを所有しているのが不思議でならない。要は直面する課題に対して実は「無自覚」で、権威・インフルエンサーの主張に共鳴することで社会不安に対するヒーリング、また「不安がること」自体が知的行為と受け止める傾向を感じた。

影響を受けやすいという性。あるいは思い込みの激しさは左右を横断する。こと国内の反ワクチン、親ロシアの最大勢力といえる神真都Qは最たるものかもしれない。

トランプ偽造メッセージ、ベネッセ偽チラシ、デマ画像…

トランプ氏が神真都Qを鼓舞するメッセージを送ったと会員の間で話題になった。3月22日、同団体幹部、通称“甲兄 ”こと村井大介氏もツイートしている。同団体は3月15日に「一般社団法人神真都Q」と登記。村井氏は代表理事で、理事には倉岡宏行氏(リーダーの岡本一兵衛氏)も名を連ねる。

トランプ氏が日本の一団体にメッセージを送ることはありえるのだろうか。無論、当のトランプメッセージは自作自演。「テレグラムを編集したんです」(ウォッチャー)という。テレグラムとはロシア技術者が開発したメッセージアプリだ。

反ワクチン活動家に接触を試みると(DSの監視を受けないという)テレグラムを通じてのやり取りを求められたことが多々あった。かつてトランプ氏は「DSと戦う光の戦士」と讃えられたが、現在は露・プーチン大統領が「光の戦士」として信奉されている。「ロシア製のテレグラムなら安全」との考えはプーチン信奉とも無縁ではなさそうだ。

こうしたメッセージは一部からデマと指摘されても、甲兄へのレスをみると称賛と感謝の言葉が続く。「リテラシー」という言葉を贈りたい。こういう他ない。

ベネッセ騒動渦中の 人物に聞いてみると

またすでに広く報じられたが、神真都Qの支持者である助産師が3月21日に「ベネッセすごい チャレンジ1年生4月号に入ってたんだって」と以下の反コロナワクチンリーフレットを投稿した。

助産師は知人からLINE上でリーフレットの存在を教えられ投稿した。ベネッセコーポレーションにすればとんだもらい事故になったものだ。同社広報部に事情を聞いたところ3月22日に回答があり「リーフレットを教材に梱包した事実はなく、すでに投稿者に削除を依頼しました」との説明だった。また投稿者にも取材を求めたところ「本人も憔悴しきった」ということで親族が代理で回答した。

「ベネッセコーポレーション様にはすでにお詫びをして削除ということでご了承いただきました。本人も反省しており、決して悪意があった訳ではないと申しています。ただ神真都Qとは会員という訳ではなく(反ワクチンなどの)考えに共鳴したということです」

信じるが故の思い込みだろう。とにかく投稿者も同様に神真都Qの他、陰謀論の支持者は「真実」という言葉を多用する。リーフレット騒動もまた「真実」という強い自負が根底にあった。

投稿者は神真都Q茨城デモのグループLINEにも参加しており、投稿をみると反省を促す一方で「投稿主は騙された」「元の情報提供者がDSの工作員」とする陰謀説もみられた。この辺りいかにもだ。

また取材に応じた親族によると大手メディアからも取材があったがその際、「神真都Q」の指摘はなかったという。つまり取材趣旨としては「ネットとデマ」のような典型的なネット批判記事だと推測する。本来、重要なのは神真都Q、また反ワクチン派の思考パターンのはずだが、具体的な団体名は言及したくないのだろうか。

いずれにしても神真都Qの騒動の裏にはおおかた「DS」という名が挙がる。ではDSとは一体、何か?明確な定義はあるのだろうか。

原口一博衆議院議員に DSを聞いてみたが

DSという謎組織。アメリカの官僚機構や金融資本、軍産複合体の総称といったイメージだろうか。しかしこの説をとる人物から明確な回答をもらえたためしがない。妙なもので、ネットの俗説だけではなく、国会でもこの名が登場。2018年、衆議院予算委員会でDSは国会デビューしていた。

私は、これはもう問題提起にとどめますが、トランプ政権ができて約一年、トランプさんのツイッターやいろんなのをフォローしていますと、今までは、国と国が戦うのかなとやはり私は思っていました。しかし、彼は、ワシントンから権力を取り戻すと。ディープステート、インナーステート、つまり、ステートの中にある戦争屋。この間も、ケネディ大統領の暗殺ファイルについて公開をしました。

また、別の公開では、何と、アメリカの政府が未確認飛行物体についても実際に研究をしていた、そういう情報も公開されました。彼はタブーがないですね。その中で出てきているものを見ると、日本では何かトランプ大統領というと、もう本当に変わった人、ちょっと理解がしにくい人というような報道があるけれども、実は、彼がやっている情報公開はとても重要で、オバマ政権のあのメールの問題にしろ、その中身を見てみると、実際には、国と国が争っているように、あるいはテロリストが私たちを攻撃しているように見えるんだけれども、ディープステート、つまり自分たちの国の中にある戦争屋がそこに、まさに自作自演のにせ旗作戦をしていたんだというのを暴露しているように見えるんです。

原口氏もDS謀略説を取る立場。同氏がいうDSの定義について質問状を送付してみたが、期限までに回答がなかった。明確な定義付け、つまり具体的な団体名、人物名を挙げることはできないだろう。それはDS説を取る面々の共通点だからだ。

あるいはこういうケースも厄介である。DSについて提唱者に尋ねると膨大な英文や無関係なグラフやデータが送られてくるのだ。定番の手口といってもいい。

アメリカの官僚機構や金融メジャー、あるいは軍需産業が存在することは事実だ。しかしそれらがDSとして世界を牛耳り、コロナワクチンで世界を操作する、こんな事態はありえるのだろうか。またそれほど脅威で巨大組織にも関わらず堂々とデモや動画でDS批判ができるのが不思議でならない。

混迷する社会の中で「DSの策謀」とは一つの答えであり、安心材料である。そして現在の保守言説と非常に“ 密”なのだ。

トイレ掃除をしましょう、身を清めましょう

現在、保守論壇でDSは一種のトレンドになっている。その最大の提唱者が元駐ウクライナ兼モルドバ大使、作家の馬渕睦夫氏だ。

都内で馬渕氏の講演会を主催した企業関係者によると

「私も陰謀論者といわれましてと苦笑していたのが印象的でした。ご本人もそういう指摘があるのは認識されているのでしょう」

と話す。

馬渕氏の影響力や信奉者は少なくない。問題はなぜ保守論壇が陰謀論に傾倒しやすいのかという点だ。自身も関連本を担当した経験を持つ編集者はこう説明する。

「保守論壇のパーティーに行くとネット番組などで時局を語る作家や評論家が水や浄水器、サプリメントを営業している姿を見かけます。そりゃそうでしょ。論壇だけで金になる訳じゃないですから。特に日本会議の会員は中小企業の経営者や自営業者が多いですから、一種の協力金というかカンパ代わりに購入していますね。それに著作があると信頼性が高くなるでしょう。一般の人からみれば“こんな立派な本を出す作家なら安心だ ”ということです」

実は「水」で直感的に思い出したのが、愛知県知事リコールの署名偽造事件で現在、公判中の田中孝博被告も以前は浄水器を販売していたという。保守関係者と浄水器は相性が良いのか。

こう続ける。

「日本の技術が活かされた浄水器だとか、海外にはない良い水だとか、この辺りは保守の精神性に訴えかけるものがあるのでしょう。それにサプリというのもいかにもじゃないですか。馬渕氏が出演する『未来ネット』、また『真相深入り!虎ノ門ニュース』もスポンサーはサプリメント企業です(笑)」

また同氏は主張自体が保守派の癒し、すなわち“サプリメント ”になっていると指摘する。皮肉にもサプリとはこのような意味だった。

それには哀愁も感じざるを得ない。

「馬渕氏からはDSに対する警戒が語られますが、DSと具体的にどう戦うのかという説明はありません。最後は結局、“身を清めよう ”とか“ 日本人の文化を取り戻そう”または“トイレ掃除を始めよう ”とか道徳心に訴えかけるのです。この部分が保守層の精神性に響くのではないでしょうか」

行き着くところ「日本のこころ」という顛末? つまりDSというパワーワードをきっかけに「道徳」「道義」を説くというわけだ。この点が保守層にとっての心の“サプリメント ”ということだろう。そしてこの道徳、道義という抽象的な概念が「陰謀論」と結びつきやすいのではないか。

社会不安の中でDSはまさに一服の清涼剤でサプリといえよう。DSの批判者諸氏、恐れるその敵は案外、自分の心の中に潜んでいるかも!?

三品純 について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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DS、神真都Q、反ワクチン、親ロシア… 保守派 に底流する 「陰謀論」は“サプリ” だった!」への5件のフィードバック

    1. 三品純 投稿作成者

      すみません。私の表現力がないのは承知してますが、精神性に訴えるサプリという意味でご理解頂けませんか?

      返信
  1. うましかの一つ覚え

    サプリとは言い得て妙ですね
    ホントはそんなの無くても大丈夫なんだけど、それがないと自分が保てない(と思い込んでしまってる)
    つまるところ、自分の心の中に~という最後の一文につきますね

    返信
  2. 匿名

    テレグラムのトランプからのメッセージは自作自演ではなくウォッチャーによる”釣り”です

    返信

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