【岐阜県可児市】脱税で 告発された「島田紳助」その名の事情

カテゴリー: 社会 | タグ: , | 投稿日: | 投稿者:
By 三品純

著名人と同姓同名者の事件報道、訃報などで「釣る」のはいわゆるまとめサイトやSNSでありがちなこと。例えばこんな実例を紹介しよう。昨年7月、岐阜県可児市の人材派遣会社「日研サービス」の社長、「島田紳助」氏(48歳)が脱税で告発された。この名前、多くの人は吉本興業の元お笑い芸人・島田紳助氏を連想するのではないか。芸能界を引退した後も高い知名度と存在感を持つ。ネットの掲示板、まとめサイト、調べてみました系ブログが放置するわけがなく会社経営者「島田紳助」名が拡散されていった。実はこの島田紳助氏、単なる同姓同名というわけではなく“斜め上 ”の事情があったのだ。

元紳助・竜介の島田紳助氏とは無関係

2011年、暴力団との交際が発覚して芸能界を引退した元お笑い芸人の島田紳助氏。たびたび近況が報じられ、復帰を望む声は強い。TVから姿を消して随分経つがそれでもニューストピックスになる人物だ。

調べました系、調査した系ブログで何か分かったことあります?

そんな島田氏と同姓同名の人物が脱税というのだからネットがざわめくのはやむを得ない。

昨年7月2日の時事ドットコムニュースは

同社と関連会社の「日研サービス大垣」(同県大垣市)は自動車部品工場や携帯電話販売店など約130カ所に人材派遣を実施。日研サービスは2018年2月期までの3年間で計約7億2700万円、日研サービス大垣は18年3月期までの2年間で計約1億9500万円の売り上げを申告せず、消費税計約6900万円を脱税した疑いが持たれている。

と報じた。資金繰りに苦慮していたのだろう。脱税分は会社の運転資金に充てたという。さて本家・島田紳助氏も実業家の顔を持ち飲食店などを複数経営していた。そういう経緯があってか島田氏と混同する投稿も散見された。

そして名古屋国税局が消費税法違反などの疑いで島田氏、同社と関連企業「日研サービス大垣」の2社を告発。島田氏が法廷に立つことになる。

この名前のせいで…って

岐阜の島田紳助のその後はどうなったのか。地元報道関係者の解説。

「昨年11月に判決があって日研サービスに罰金700万円、日研サービス大垣に罰金200万円、島田紳助氏に懲役1年罰金800万円執行猶予3年ということでした」

判決自体は妥当な線だろう。しかし法廷で島田紳助が語ったことが―――

「釈放されてから会社の資金繰りが苦しくなり多くの金融機関を回ったが、この名前を検索されるせいか、どこもカネを貸してくれない。この名前のせいだ、と裁判で主張したのです」(前同)

確かに検索すると関連情報はいくつか出てくる。しかもあの「島田紳助」と同姓同名だからなお目立ってしまう。ところがここで一考。

地元ロータリークラブの役員も務めていた。

当人は48歳である。「紳助・竜介」の結成は1977年でブレークしたのは漫才ブームの最中の1980年。現在48歳の人物の両親が芸人「島田紳助」にあやかって命名したとは思えないが…。

「こちらの島田紳助氏は実はパラグアイ出身の日系人で帰化していたんですよ。ということは本人も納得してこの日本名にしたんじゃないかっていう(笑)」(前同)

それに名前とは関係なく脱税で告発された後は金融機関も渋るというもの。決して「島田紳助」という名のせいではないと思うが…。

そんな島田氏の自宅を訪問してみたが応答する気配はなし。そこで日研サービスに聞いてみると

「すでに(島田氏は)退社しております。すみませんがまた今度でよろしいですか」

ということだった。

外国籍住民事情も垣間見えた

自動車部品メーカーのKYB株式会社、大王製紙株式会社といった大手企業の工場がある可児市は外国人労働者が多い。市内には主に南米系の住民に向けた商店、施設から教会、ブラジリアンスクール、ブラジリアン柔術のジムまである。

外国籍住民が増加した理由は平成2年の入管法改正だ。特にブラジル人の割合が高い。このため市役所にはポルトガル語表記の案内や広報物も。ブラジル人の場合、定住が長い分、実業家や会社経営、自動車工場、小売りなどで成功した住民も少なくない。「経営者も従業員もブラジル人」(地元住民)という傾向もある。

しかし近年、ブラジル人たちも高齢化、あるいは工場閉鎖などで帰国する住民もおり減少傾向。替わってベトナム籍住民が増加中だ。実際に可児市のデータを見ても一目瞭然だろう。ベトナム人増加の理由はズバリ、技能実習制度によるもの。ところがたびたび報じられる通り同制度の労働環境は劣悪だ。このため生活苦からこの地域でもベトナム人による窃盗、家畜盗難などが発生している。加えてコロナ禍によって彼らの生活にも影響をもたらしたに違いない。

オールドカマー、ニューカマーが様々な事情を抱える中、パラグアイ出身の島田氏が経営者に登りつめたのは見上げたもの。それに地元ロータリークラブにも参加し地域活動にも熱心だった。一生懸命、地域に溶け込もうとした熱意は見える。確かに一度は失敗したかもしれないが、この苦難を乗り越えればそれこそ

「素敵やん」

というものである。

三品純 について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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