【名張市】宅地と 山林の 地価が同じ?固定資産税課税ミスを 隠蔽した マスコミの 欺瞞報道!

カテゴリー: メディア, 地方, 行政 | 投稿日: | 投稿者:
By Jun mishina

公人によるパワハラ、威圧的行為に関する報道がここ数年、目立ってきた。だが特定団体・人物に“寄り添い取材”のマスコミが公平に判断できるのかは疑わしい。3月29日、三重県名張市議会は「市職員に威圧的言動」として木平秀喜市議へ辞職勧告を可決。マスコミ各社は市側の言い分のみを報じ“不都合な事実”を隠蔽した。

パワハラ報道の 裏側で 重要情報を隠す

木平秀喜名張市議が昨年11月に市職員に対して威圧的な言動をとったとして2月6日、名張市議会は同市議に文書で厳重注意を行った。すると報道各社は

「職員に威圧的な態度で厳重注意」

といった見出しで報じた。同市議が固定資産税に関する相談を受け、昨年11月に市民や税理士と担当部署(市民部課税室)を訪れた。その際に職員が「個人情報なので回答できない」と答えると、木平市議が「バカにしているのか」などと発したことが威圧的態度として報道された。

「威圧的な言動があったこと」「市議会からの厳重注意」「固定資産税の窓口」各社の記事は表現の違いこそ似通った内容。しかしこれではトラブルに至った経緯は掴めない。

「伊和新聞」という地元紙は初見。少し萌えた。

次いで3月29日、木平市議に対する辞職勧告決議案が可決されたが、やはりいずれの記事も「辞職勧告を可決」が中心。ここでも問題の経緯がさっぱり分からない。しかも「威圧的言動」が起きたという場所にいたのは木平市議、そして納税者である市民だ。「市民に寄り添う」ことを是とするはずのマスコミがなぜ市民側の言い分を掲載しないのだろう。

しかも木平市議は窓口に税理士まで同行させたのだが、このような事態に至った理由をなぜ報じないのか不思議でならない。

実はこの騒動、固定資産税の過徴収について市議が市民らと抗議、調査に訪れていた。だが「過徴収」という問題に触れたメディアは皆無。しかも過徴収は議会で市側も認めたことなのに、だ。

多発する 固定資産税の 過徴収

名張市では固定資産税に関するトラブルが続く。建物の固定資産税を超過課税したとして飲食業者が2022年、同市に対して約990万円の損害賠償を求め提訴。また過去には固定資産税を誤徴収したとして大阪市内の三味線会社から訴訟を起こされ約172万円の支払い判決を受けたことも。

もちろん固定資産税の過徴収は名張市に限ったことではない。全国各地で多発している。2014年、埼玉県新座市の夫妻が固定資産税を誤って過徴収された挙句、滞納金を払いきれず自宅が公売にかけられ家を失ったという事態が起きた。

古いデータだが総務省が2012年に発表した「固定資産税及び都市計画税に係る税額修正の状況調査結果」によると固定資産税の課税誤りは全市町村の97%だった。固定資産税の仕組み自体が複雑過ぎることを差し引いても名張市の対応は疑問が残る。

一方、木平市議はこう反論するのだ。

「暴言があったという結論ありきとしか思えません。というのは私は昨年11月に資産税課を訪れた時の音声データを持っているんです。2月2日の記事で私が一方的に暴言を吐いたように書かれました。そこで6日(同月)にマスコミ取材があった際、各社にデータを渡したのです。ところが小さな声で言ったはずの“バカにしているのか ”部分だけが暴言として大々的に報道されてしまいました」

まさしくマスコミの狡猾な報道手法といったところ。典型的なキリトリ報道というものだ。しかも市民生活に直接影響がある納税に関する質問に対して「個人情報」を繰り返していた。こちらは行政のお家芸である。

ところが「暴言」は殊更、過大に取り上げる一方で過徴収という問題は黙殺しているというのだ。

宅地と山林が なぜか同じ 固定資産評価

木平市議作成。山林と宅地が同じ評価額という問題も発覚。

木平市議は問題点を挙げる。

「平成29年(2017年)から46件の過納金があったことも市民部長の答弁で明らかになりました。しかも記者会見やホームページでの報告もありません。しかも納税者から請求がない限り市からは返金しないのです」

木平市議によると「下水がないのに下水がある」「道路の舗装がないのに舗装あり」として課税されていた実例もあったという。だが「この点について高く評価していた期間の過徴収分を還付したのかと尋ねても市側は“納税者からの請求はなかった”という説明です」(同)

納税者たちにすれば怒りたくもなる。

「山林が宅地と同額で約13年間も課税されてきたケースもあるんですよ。この件について北川裕之市長に責任を問うと“聞きたかったら窓口に来たらいい”と答弁しました。なので我々は資産税課に行ったら“ 個人情報だから答えられない”と沈黙していました。ところがこのやり取りがまるで職員を拘束したかのような報じられ方でしたね」(同)

宅地と山林が同じ評価額というのも明らかにおかしい。「資産税課側は航空写真を見て総合的に判断したとの説明ですが過去、名張市が航空調査を行った痕跡がないのです。課税室資産税担当室長らと話し合った際は“航空写真を何度も見た ”というのでいつの写真なのか問い質しても沈黙でした」(同)

現状の報道だと名張市の課税ミスを隠蔽するかのようだ。宅地と山林が同じ評価で課税、航空写真で確認といった市側の主張について市民部課税室に質問した。

―宅地と山林が同じ評価額で課税されたというケースは実際にあったのでしょうか。

お答えしかねますね。

―そういう苦情もなかったのでしょうか。

個人情報もあるのでそれもお答えできません。

ー山林の評価について航空写真で判断したと言いますが、いつの写真なのかぐらい教えて頂けないでしょうか。

それも同じようにお答えすることはできません。

適正に課税されていれば堂々と説明すればいいだけの話。「個人情報」を繰り返す辺りに、市側の対応に疑問を持たざるを得なかった。しかもこうした事実があるにも関わらず一切、報じなかったマスコミはもはや行政の広報役でしかない。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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