【新型肺炎】焦る中共、人権と個人情報に囚われる日本

By Jun mishina

感染が拡大する新型肺炎は中国で死者が300人を超えたと報じれらた。また2日、フィリピンで中国国外初の感染死亡者を出した。まさに地獄絵図! 連日のように中国・武漢では病院に殺到する人々、道端に横たわる死体、市民がマスクを奪い合うなどの様子がSNSでも確認できる。拡大する被害に焦る中国。逆に日本を見れば感染者、濃厚接触者、あるいは中国人の入国禁止案に対して「差別」「個人情報」の大合唱。日中ともに本当の敵はウィルスではなく政治や制度になってはいないか

共産党員が戦闘に立つ。戦え、戦え、戦えという意味。この期に及んで精神論。
新华社より。関係者や医療スタッフを鼓舞する共産党員。

先月27日、 中国・李克強首相は最高幹部で初めて武漢入りし医療関係者や患者を慰問した。病院スタッフらと「頑張ろう、頑張ろう」などと気勢を挙げた。どうも「気合」が優先しているような中国。それはこんな記事にも垣間見える。

中国の公営メディア、というよりも報道の体を取る政治団体「 新華社 」(新华社)は1月29日、「党旗,高高飘扬在防控疫情斗争第一线——各级党组织和广
大党员干部投身疫情防控阻击战纪实」と報じた。

中国事情に詳しい情報機関担当者にこの意を問うと

「党旗(中国共産党の旗)を高く、高く掲げ新型肺炎と前線で闘う党員や幹部の捨て身のドギュメンタリ―。新聞の見出しのようなセンセーショナルに訳すならこんな意味でしょう」

早い話が共産党員たちが新型肺炎と闘っているというアピール記事で国内の不満や動揺を抑えるための記事だという。

gov.cnがついた中国政府のホームページに転載されているのを見ればただの広報記事というのは分かります。一致団結して闘うぞという長いスローガンです。武昌医院(武漢市)で軍や介護スタッフたちが必死に対応して回復した患者の家族が深くお辞儀をしているとヨイショしています。もちろんこの記事を読んでも中国の実態や真実は分かりません」(同前)

1月30日、WHO(世界保健機関)は「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」(緊急事態宣言)を宣言した。緊急事態宣言は一旦、見送られた経緯があり国際的に不信感を高めたがこれも中国の影響力が故だろう。本誌も中国が国連を席巻していると過去、報じた。https://jigensha.info/2019/11/29/china/

WHOも中国と無関係ではない。2007年から17年にかけて中国出身の陳馮富珍マーガレット・チャン氏が事務局長を務めた。17年7月からエチオピア出身で目下、新型肺炎に対応しているテドロス・アダノム・ゲブレイェスス氏が事務局長に就任。 「テドロス氏が事務局長職を就けたのも中国の協力があってのこと。また中国はエチオピアに莫大な投資をしています。その辺りの事情もあって中国に忖度したのでしょう。もっと言えば70年代から国連における中国とアフリカ諸国は蜜月な関係にあるのです」(中国に詳しい大学教授)。

テドロス事務局長と言えば「中国政府は感染拡大阻止に並外れた措置を取った」などと中国側への露骨なリップサービスが目立つ。ところがさすがに国際的な世論を抑えることはできず一転、緊急事態宣言に至った。

それだけに中国共産党には強い焦りが滲み出ているという。

「先に紹介した記事を見るとつまらない風刺絵がありますよね。我らは共産党員、闘うぞ、闘うぞ、闘うぞと書いています。また有名な男性タレントが救援物資を送ったとかそういうことをアピールしていますが、むしろ寒々しい。中国共産党のこうした精神的な鼓舞は逆に焦りの裏返しでしょう」 (前出情報機関担当者)

勇ましい掛け声の割に「党幹部が行列を無視して医療品や食料を強奪していく様はSNS上でも公開され不満が高まっている」(同)というから邪魔なのはウィルスではなくて共産党員ではないか。得意の国際的な工作やスローガンではもう不満や怒りは抑制できないことをそろそろ学んだ方がいいのでは?

目的化した人権と個人情報の恐怖

対する日本。新型肺炎、コロナウィルスの感染が発覚して以来、テレビ・新聞ではとにかく中国人への人権、配慮、差別ありきという趣旨の報道を続けてきた。またもう一つの壁として厳然と立ち塞がるのが「個人情報」だ。国は「個人情報保護」を理由に、感染者の詳細な行動歴を説明していない。自治体は大阪府では濃厚接触が疑われる場合、独自に感染者情報を公開していく方針。

ある程度、感染ルートを公開した方が予防にも貢献するはずだが、どうも国にはそうした意識はないようだ。とにかく一般人ですら「個人情報」という概念がモラル、社会マナーの最上位に位置している。一方、マスメディアも企業や行政の僅かな個人情報漏れにも目を吊り上げてきた。報道側としても本来は感染者の個人情報を知りたいところだろうが、これも自分たちが蒔いた種に過ぎない。

個人情報という壁がどれぐらい個人の不利益につながるのか一度よく考えてほしい。ここ数年、大型の台風による被害が相次いだのはご存知の通り。共同通信が災害時に支援が必要な高齢者・障害者を地域で把握する「避難行動要支援者名簿」の作成状況について政令市や道府県庁所在地、東京23区の計74市区 に調査したところ65市で未完了だった。このうち約9割が「介護状況」「障害」などの情報を知られたくないため本人の同意を得られなかったという。ここでも「個人情報」が壁になったことが浮き彫りになった。

災害時への救援・支援は本人のためでもあるが、それでも渋る訳だから自治体としてもお手上げだろう。

しかし現実問題として有事の際は対応が迫られる。視覚障害者支援団体の関係者はこう振り返る。

「東日本大地震の際、当事者を支援しようと障害者団体に盲学校の通学者・卒業者の情報提供を求めたが拒否された。そこで担当課長がクビを覚悟して視覚障害者住民のリストを出してくれた自治体もあった。

まさに正直者、誠実な人が損をする。緊急時にすら個人情報は厳然と個人の「権利」と「生命」を阻む。ただ国や自治体が住民の権利よりも個人情報保護を優先するのも万一、わずかでも個人データが外部に流出した場合、メディアからのバッシング、そして一般人・団体からも激しい抗議が待つだろう。抗議者たちは常に「個人情報保護」のほころびを探し求めているものだ。だから個人情報保護そのものが目的化せざるをえない。

日本と中国、状況はまるで異なるが、本当に闘うべきものを間違えていないか?

個人情報保護に関するいわゆる「過剰反応」に関する実態調査報告書(平成23年)。実は誰よりも一般住民が個人情報にヒステリックだ。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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【新型肺炎】焦る中共、人権と個人情報に囚われる日本」への2件のフィードバック

  1. ななこ

    この記事を読ませていただいたとき、ある宗教団体の事を思い出しました。
    ある人達の「信念」や「信仰」は人命より尊い!ということなのでしょう。
    「宗教精神病説」というものがあるようですが、これらの病気は個人対個人では伝染しないそうです。ですが、個人対集団になると何故か?感染する人たちが現れ、集団心理もあってか多くの人達に伝染するようです。憲法何条?を信仰している人達にとって、「信念」や「信仰」は集団心理も相まって、人命より尊いものとなっているのでしょう。こういった人たちに対して「個人」の立場から「個人」に対して意見を述べても影響を与えることは出来ないものだと思います。なぜなら彼らは「集団感染した一つの個体」を形成しているからだと思います。

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  2. 正しい者に安らかな眠りを

    日本の対応には本気で失望しました
    日本初の死者が、自ら命を絶った官僚というのが笑えない悲劇だと思います
    五輪の新国立建設の際にも、現場の若者が自ら命を絶ちましたね
    この国では命よりも金が重いのでしょうね

    ところで和歌山の例の自治会長の初公判が近づいてますね。2月10日と聞きましたが。あの会長が自白するとは思えませんが、少しでも地方自治体の闇が暴かれることを願ってます。

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