マスコミ、左派市民たちは「参政党批判」で一色だ。先の参院選の街頭演説では「差別」「排外主義」といったプラカードを掲げ参政党候補を指弾した。筆者は2022年から参政党に疑問を呈するレポートを配信してきたが、同党の問題点は「集金」「非科学的・陰謀論的主張」にあるのではないか。「差別」の連呼では本質は見えてこない。(写真は都内で演説するさや氏)
東京と大阪で議席獲得という快挙
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獲得議席数は14、比例選挙区の得票は自民党、国民民主党に次いで742万票。第三極と呼ばれる政党は過去にも存在したが2010年の参院選では「みんなの党」が10議席、比例で794万3649票を獲得した。得票数自体は及ばないものの、議席数では参政党が上回る。
その後、みんなの党は消滅し、第三極を志向する非自民の保守層は日本維新の会へ移った。だが2023年の統一地方選挙を境に党内の不祥事の影響もあり、維新は減退している。自民や維新に失望した有権者が参政党を支持したと考えればさほど不思議な結果でもない。
ただし東京選挙区ではさや氏が2位、そして維新の牙城、大阪選挙区では宮出ちさと氏が3位と大健闘したのは快挙。またその他選挙区では桜井祥子氏(茨城)、大津力氏(埼玉)、初鹿野裕樹氏(神奈川)、杉本純子氏(愛知)、中田優子氏(福岡)が当選。都市圏が目立つ。東京、大阪の選挙区で議席をとったことは次期総選挙の弾みになるだろう。
日本人ファーストで今更怒る人々
では参政党の躍進の要因は何だったのか。それはマスコミ、アンチ市民の無策ぶりである。「日本人ファースト」というスローガンに対して「差別」「排外主義」といった批判に終始した。結党以来、参政党の主張は保守的、復古調でありこれまでの経緯からして「日本人ファースト」というフレーズは際立った主張ではない。逆に今更、「日本人ファースト」に怒る人々の認識不足に呆れてしまった。
単に参政党が躍進が報じられたことに対して危機感を覚えて騒ぎ出したに過ぎない。とにかく今のマスコミや左派は話題のトピックスに飛びつきただひたすら「差別」を繰り返す。こうした報道は全く意味がない。繰り返すが参政党の問題点は選挙活動、街頭演説をまるでビジネスにしたようなフシがある。2022年7月の参院選では、神谷代表一人が当選。同選挙では政党要件を満たすことになったものの、45の選挙区では全員が落選した。まだこの段階では泡沫政党に過ぎなかったのだ。
ただし街頭演説、タウンミーティングはとても盛況だった。当時から冷ややかな目が向けられてきたのは高額な政治パーティーなどで億単位の寄付を集めたことだ。街頭演説では募金箱が設置され、また神谷代表がスパチャを呼び掛けた。
スパチャの是非をめぐっては神谷代表が2022年6月14日の旧Twitter上で「参政党のYouTubeからの収入は事業収益として報告しています。ちゃんと調べてやってるんだから。役人か!」と反論。街頭演説での募金活動も他党では見られない現象だ。「差別」を繰り返すよりも、大手メディアならば人海戦術でこうした「資金集め」に対して掘り下げていくべきだった。

公示日から一気に支持が爆上がり
すでに他メディア、識者らも指摘しているが、マスコミによる「キリトリ報道」や「差別」といった批判は全く無意味だったことも印象的だ。
有志がまとめた自民党調査、読売新聞、日経新聞、共同通信、朝日新聞、毎日新聞、FNN産経の調査が興味深い。6月後半の段階では東京選挙区のさや氏、大阪選挙区の宮出氏が善戦、横一線という状況。ところがそれ以外の当選者の場合、茨城選挙区の桜井氏は自民党調査(6月20~22日)だと10ポイントで最下位。報道各社も「懸命に追う」といった表現。埼玉選挙区の大津市も同時期の調査では公明党、共産党にリードされたが両党を抜いて当選。
激戦の神奈川選挙区では初鹿野氏が横一線で厳しかったが埼玉と同様に迫る公明党、共産党を抑えた。
愛知選挙区の杉本氏は当初、明らかな泡沫扱いで自民党・酒井氏に大きく離されたが結果は3位で当選。福岡選挙区の中田氏に至っては自民党調査(6月20~22日)では最下位の6ポイントから2位へ。実績がある立民・野田国義氏を破っての当選は驚きだ。
公示日の7月3日には神谷氏が街頭演説で発した「高齢の女性は子どもが産めない」が問題視された。神谷氏への懐疑的な著者であっても単に適齢期で出産できる環境作りを説いたものだと解釈した。ところが発言以降、支持率が落ちるどころかむしろ上昇していった。
この期間には一体、何があったのか。躍進の象徴の一人、宮出氏に話を向けると「やはり神谷代表のテレビ出演が大きかった気がします。あれで知名度が上がったと思います」と話した。
テレビ出演とは7月2日に行われた党首討論会のことだ。日本維新の会を離党した梅村みずほ参院議員が6月30日に参政党に入党したため政党要件が満たされ参加資格を得た。弊社も身をもって痛感するが同和団体の不祥事、外国人犯罪に言及するだけで「差別」と認定されるこの世相。神谷代表は全く意に介することなく「日本人ファースト」を訴えた。このフレーズが少なからず有権者に響いたに違いない。
そして選挙戦に入ると反参政党の活動家が街頭演説に殺到した。



参政党員「自分も選挙活動で成長」
仮に参政党に不満があるならばあくまで「言論」という形で対抗はできないものか。プラカードを作り路上での直接行動にどれだけの意味があるのか分からない。むしろ一部からは「アンチ(しばき隊)がくると当選する」とむしろ縁起担ぎ扱いだ。ネットスラング的には「逆神」というものだろう。
もともと活動も政策も人材も、自分たちで DIY (Do It Yourself )するというのが参政党の理念だ。この発想自体は悪いものではない。むしろ政治不信の中で生じた考え方だろう。
ならばアンチの面々も既存の左派政党ではなく広く有権者に理解される政党を作り対抗すればいいのではないか。ところが繰り返すのは「差別」の連呼。この差は大きいのではないか。
7月21日の当選報告会ではさや氏が「アンチのみなさんたちが新しいプラカードを作れるように、使い回しじゃなくてですね、新品を揃えられる経済力を立て直しましょう」などと逆手にとった。むしろ街頭演説でのカウンター攻撃は〝ネタ化〟してしまったようだ。
そして各地の参政党取材を通じてボランティアスタッフの態度にある共通点があった。話を聞いてみると「選挙活動を通じて自分を成長させたい」「いろいろな考えの人に出会い学べた」などと〝キラキラ感〟に満ちていたことだ。個人的には自己啓発風で抵抗を感じてしまった。
しかし「差別」「排外主義」といったレッテル貼りですら、むしろ結束の材料にしてしまっている。こうした態度は自民党や日本維新の会の議員・党員にはなかなか真似できないことだろう。
おどろおどろしいプラカードを掲げて声を荒げる左派、これに対して選挙活動をポジティブに捉える参政党員たち。果たして無党派の有権者が両者を見たときにどちらに好感を持つだろうか。その答えは参院選の結果が物語っているだろう。
もっとも躍進したとは言え保守系の第三極は生まれては消えの繰り返しであり、参政党が二の轍を踏む可能性は大いにある。しかし現状ではマスコミ、アンチの諸氏は残念ながら完敗だ。バッシングを乗り越えて党勢を拡大するのか、それともメッキが剥がれていくのか。次期総選挙も注目したい。