【台風の目or愛国商法】参院選で 注目!「参政党」は“会いに行ける オンラインサロン”

カテゴリー: 政治, 陰謀論 | タグ: | 投稿日: | 投稿者:
By Jun mishina

「良識の府」。衆院よりも任期が長くより政治を検証でき、かつ法案チェックの役割を持つことから参議院はこう呼ばれるようになった。しかし現実は“全国オモシロ人間ショー”と化した参院選。この夏の選挙でもユニークな面々が並ぶ。その中で異彩を放つのが「参政党」だ。党関係者、役員の顔ぶれは保守メディア風味が漂い、いざ街宣となると多くの聴衆を集める。諸派ながら党関係者は著名人も多数、集金力にも長け“台風の目”との評価も。しかし実態は会いに行けるオンラインサロンとしか―――。

保守メディアレギュラーがズラリ

すでに党から離れた論者も。

徳の高い為政者が天子の位につくと出現する伝説の鳥『鳳凰』がトレードマーク。オレンジ色のロゴをあしらった街宣車に支持者が群がる。夏の参院選に複数の候補者を擁立する参政党だ。団体HPによると共同代表として松田学元衆議院議員、「大日本愛国党」初代総裁、赤尾敏の姪にあたる赤尾由美氏、誠敬会クリニック銀座院長・吉野敏明氏、事務局長に神谷宗幣元吹田市議の名がある。政治資金収支報告書代表欄には神谷氏が記載されており、事実上の代表者は同氏だ。

在阪政治通の話。

「神谷さんは2010年、保守系の若手地方議員を中心にした政治グループ『龍馬プロジェクト』を結成。旧メンバーの中には自民党など他党に流れた議員もいるけど、参政党のベースは龍馬プロジェクトです」

龍馬プロジェクトとは無論、幕末の志士の坂本龍馬にあやかったネーミングだ。龍馬が起草した船中八策になぞらえた国是十則の下に集まった地方政治家のネットワークである。

プロジェクトに参加する首長や議員は、地方政治家ながら発信力がある面々がズラリ。

この通り主要メンバーは地方の保守系議員。参政党という看板だけでは政治色が見えないが、過去、浮上した関係人物には保守系YouTuber・KAZUYA氏、田母神俊雄元航空幕僚、葛城奈海氏、ジャーナリスト・篠原常一郎氏、作家の坂東忠信氏ら保守系メディアの常連が並ぶ。こうした人脈が示す通り、党是理念は保守、右派。政策集を見ても一目瞭然だ。

特徴からして野党支持者からは「自民党の別動隊」と揶揄されている。

皇室、伝統を重んじるという。

またもう一点、注目すべきは反コロナワクチン、反マスクを打ち出していることだ。それは参議院議員全国比例区支部長にワクチン懐疑論者の工学者、武田邦彦氏がいることもからも鮮明である。

参政党の政策集をみると

新型コロナのモードチェンジ…正しい感染症の知識を普及して「コロナ脳」から脱却、国民の行動制限やワクチンに頼らず、日常生活を早く正常化し、免疫力の強化と機動的な医療システム構築でコロナ禍を克服、自由と健康の両立を実現。

との主張があり、「コロナ脳」や「免疫力の強化」という表現からして反ワクチン団体「神真都Q」との関連性を疑う向きもある。神真都Qとの関係をめぐって参政党Twitter公式アカウントで否定しているが、

「神真都Qの活動家が逮捕されたことで参政党に移ったという元会員は少なくない」

と参政党参加者は見ている。

参政党と神真都Qを重ねてみる向きは少なくないだろう。参政党の主張は神真都Qでも話題になった「陰謀論」を想起させる。参政党が主催する勉強会の講師は陰謀史観の著作で知られる作家、林千勝氏、江崎道朗氏が務めたことも。神真都Q草創期でも確認できたが、反ワクチンや緊急事態条項反対、自民党の改憲案反対という主張から左派を志向する市民も参加していた。参政党も同様の現象が見てとれたが、参政党FAQ(頻繁に尋ねられる質問)には

憲法については、自民党の改憲案には賛同しません。国民の自由や権利を制限する可能性のある改正(97条削除、緊急事態条項追加)については断固反対し、国民の自由や権利を守ります。これを前提に国民的議論を起こし、日本の伝統や慣習を鑑みた自主憲法を時間をかけてつくろうというのが、参政党のスタンスです。

とあり基本的には「改憲派」であり、「創憲」と表現したこともあった。

各地に波及している参政党。

銀行口座に3億円、諸派ながら強い集金力

国防、自主憲法、こういった分野では共感できる政策もある。ところがメンバーから発散される“保守系オンラインサロン感”がどうも鼻につく。保守派で人気といえば憲政史研究者、倉山満氏もオンラインサロン『倉山塾』を主宰するが、参政党に対して倉山氏は自身のブログ『倉山満の砦』(2020年11月13日)でこう疑問を呈した。

まず誤解が倉山塾生にも広がっているようなので、明言しておく。私は参政党なる政治団体に一切の関わりが無いし、今後も関わる気はない。倉山塾生2000人には、私が沈黙を守っていることで関わりがあるのではないかと誤解している人も居るので、一切の関わりが無いし、関わる気もないと明言しておく。もし倉山塾生で参政党なる政治団体に資金を投じている人がいるなら、即刻、退会することを推奨する。神谷宗幣氏とはかつては仕事をしたが、「ネットワークビジネスに対する考え方が違うので」と、交わりを絶っている。世の中には怪しげなビジネスで保守に目覚めた人々を釣ろうとする輩が後を絶たないが、そのような団体を許容する人間と仕事をする気はない。このことは今まで沈黙していたが、良い機会なので明言しておく。

何やらトラブルを予感させる記述だ。なにしろ近年、保守派の活動は痛々しい結末を迎える。

田母神氏の都知事選、また愛知リコールの会など大風呂敷を広げるが、ご承知の通り顛末は無残。キナ臭い話と言えば共同代表・松田学氏も。

仮想通貨「ジュピターコイン」を発行するジュピタープロジェクトの事業資金返還をめぐるトラブルで名が浮上した松田氏。仮想通貨「ジュピターコイン」関連事業に投資すれば、元本が2倍になると勧誘。最低でも20億円の資金を集めながら、ほとんど配当することなくジュピタープロジェクト株式会社経営者らの懐に入った。松田氏は同社プロジェクトリーダーの肩書を持ち、なおかつジュピターコインの広告塔役だ。

平成30年度の政治資金収支報告書によれば松田氏の政治団体「松田政策研究所」の収入にはコンサルティング事業収入として3千万円の記載がある。

オンラインサロン、仮想通貨…危うさが伝わってこないだろうか。

先の参政党参加者によれば「両団体は支持層が似ています」と指摘し、こう分析した。

「神真都Qの場合、デモでストレス発散という会員が多かったと思います。参政党のコア支持者は“セミナーマニア”といった印象があります」

経営セミナー、投資セミナー、こういった集まりに参加すること自体が趣味というケースは少なくない。特に参政党の講師陣は知名度が高く、マニアに対する訴求力はある。

とは言え政治記者らが「台風の目」と注目する要因の一つが集金力だ。

「れいわ新選組が億単位の集金力で話題になりましたが、そんなれいわも陰りが見えていますね。逆に参政党は(政治資金が)順調ではないでしょうか。神谷氏は神戸市内の街頭演説で“通帳をみたら3億円も入っていた。使途は説明していく”と話していましたね」(在阪記者)

力強い既存政党への批判、神谷氏の演説は勇ましい。その一方で支持者からも疑問の声が挙がる。

「高額なイシキカイカクサミット」

こんな証言をする。イシキカイカクサミットとは参政党のメンバーが登壇するセミナーだ。主催は参政党、運営は「イシキカイカク株式会社」なる会社だ。同社代表者というのが神谷氏。

後でも触れるが高額な参政党のパーティー。イシキカイカクの参加費も高額だが、党主催イベントの収入が党代表者の神谷氏が経営する会社に支出され、なおかつ神谷氏自身も「講師料」を得る。よくできた話だ。

すでに全国で12支部(2021年6月)が結成され、党員は41500人という。

党費は月1000円だから単純計算して党員収入だけでも月あたり約4150万円の収入になる。令和2年分の政治資金収支報告書によればグッズの売り上げ、広告収入なども。

集金力といえば8月21日に幕張メッセで開催予定の「予祝パーティー」の“強気価格”は話題になった。

旧民主党系、共産党と既存の野党の集会やイベントは任意のカンパがあるにしても無料が大方。野党、いや自民党の現職からしてもSS席10万円というのは信じられない話だろう。「信者」と書いて「儲」とはよく言ったものだ。

台風の目というよりも一過性の熱狂とも

面白いことに神真都Qから参政党に移ったのは有権者だけではなく、ウォッチャーも参政党観察にスライドしている。神真都Q取材でも協力してもらったウォッチャー氏もその一人。その印象を尋ねたところ興味深い話をしてくれた。

「本質的に支持層は変わってないと思いますけど、参政党の場合は“友人・知人からの紹介”が多い気がしますね。“良いことを言うから聞いてみて”とか“本当の愛国者だ”とかそういった誘い文句です。ただ基本的に保守系のオンラインサロンでパイ(支持者)はそう多くないと思いますよ。また新しい団体ができたらそっちに移るような人たちでしょう(笑)」

こうした特徴はよく分かる。神真都Qやその他、陰謀論支持者も同様だ。「DS(ディープステート)の支配」と訴えるが、支持者に「DS」の存在について尋ねても明確な回答はない。せいぜい「YOUTUBEを見ろ」「ブログに書いてある」だとかそんな程度だ。こういった層の影響されやすさはいつも不思議に思う。

各地で多くの支持者を集め、注目される参政党だが“熱しやすく冷めやすい”という支持者の特徴を考えるとその先は…。参院選が終わってみればひと悶着という結末が脳裏をよぎる。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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【台風の目or愛国商法】参院選で 注目!「参政党」は“会いに行ける オンラインサロン”」への1件のフィードバック

  1. 匿名

    なぜ神真都Qのメンバーが参政党に移ったのか?
    ボードメンバーである篠原常一郎氏について調べれば、すぐに答えは出ますよ。
    2020年のアメリカ大統領選挙について彼がYoutubeで何を発信していたのか動画を見て下さい。「投票用紙にマイクロチップが仕込まれている」「フランクフルトでCIAとトランプ大統領直属特殊部隊が銃撃戦、CIA長官が負傷し逮捕される。」などなど。

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