【暴走する 性自認②】“ 自称女性”の 規制策「理解増進法案」を 骨抜きにした 稲田朋美の愚

カテゴリー: 政治 | タグ: | 投稿日: | 投稿者:
By Jun mishina

「女性自認者」という事実上の男性が公衆浴場、女子トイレに侵入する――。「性自認」が法制化された際に想定できるリスクだ。ところが議論するだけで「差別者」と認定されてしまう。この辺り人権派・左派の日常風景だが、一方の保守派にも疑問が残る。今年5月、法案提出が見送られた「LGBT理解増進法案」に対して自民党支持層、保守派からも強い反対論が噴出したが実は同法、性自認の暴走を規制する意味があったのはご存知だろうか? 「無理解」「思考停止」といってしまえばそれまで、なのだが。もとより旗振り役の稲田朋美「性的指向・性自認に関する特命委員会」委員長が法案の意図を理解できていなかった痕跡がある。見方によっては功を焦ったとも伝わるが…。

「昔陸軍、今総評」に「現在ジェンダー」

前回記事で 性自認の問題点に取り組む「女性スペースを守る会」が11月25日に開催した記者会見と学習会を紹介した。 掲載後、同会がTwitter上で記事をシェアしたところ“ 問答無用”といった体のトランスジェンダー論者たちが殺到。弊社が取り組む同和利権の追及や「全国部落調査」裁判の当事者ということで「差別者に加担」といった声が同会に寄せられた。といっても声だけは高いTwitterユーザーたちは弊舎に対して直接、抗議や意見をしてこない。罵倒からのブロックの繰り返しだ。

その振る舞いは『五・一五事件』で暗殺された犬養毅元総理大臣と実行犯の将校が交わした「話せば分かる」「問答無用」と酷似していた。当方からの問いかけに応答すらしない活動家もいるからある意味、将校以上の不遜さか? この辺りは戦前戦後、横紙破りな様を評した「昔陸軍、今総評」に「現在同和とジェンダー」と加えてもいいかもしれない。

同会は記事を紹介するツイートを削除した上で「記者会見に関する取材記事について」との釈明文を発表した。記事をシェアしたら「差別に加担」というのも短絡的。アンチの中には専門家、研究者といった人物も散見されたが、こうした一派は声の大きさほど関連情報を研究しているのだろうか?

「トランスジェンダー論者、マスコミの無定見ぶりが鮮明になった記者会見でしたね」

と語るのは当日の動画を視聴したLGBT団体関係者。同氏はこう苦笑した。

「スライドでLGBT法案についての解説があったんですが、これは決定的な誤りですよね。会場にはLGBTに精通するという朝日新聞・二階堂友紀記者もいましたが、揚げ足取りの質問をするよりも“ スライドの内容が違います”と指摘した方が良かったのに(笑)。つまり彼女も理解していないということですよ。しかもこのスライド内容は同会メンバーもシェアしていたでしょ。ところがアンチのトランスジェンダー論者からも指摘は入っていません。私が敵対する活動家ならば茶化しましたが、結局は差別と騒ぐ人も知識がないんですよ」

理解増進法案の本質は性自認暴走の抑制策だった

どこに問題があったのか? 同法案に詳しい自民党関係者の解説。

「自民党原案は理解増進法案で正しくは『要綱』。また野党案は『差別解消法』という名称です。こうした表記も正確にお願いしたいです。それから野党案は何を書こうが内閣法制局は問題視しません。なぜなら可決される訳がないから。このため本来は自民党案と野党案を並べることも不満が残りますが…」

と疑問を呈するが、問題は性同一性についての定義だという。定義の部分に注目。

野党の差別解消法案(野党案)では「性自認」を「自己の性別についての認識」としている。従ってスライド上における野党案の説明は正しい。ところがスライドの自民党案の定義を見ると同じく「自己の性別についての認識」 とした。性同一性の研究者の指摘も重要だ。

「もともと『性自認』という言葉は存在しません。本来は医学用語ではなく哲学領域の用語であってジェンダーアイデンティティが性同一性と訳されたのです。しかしこれだと意味が分かりにくいから意訳として登場したのが『性自認』。用語の明解さから性自認が汎用されるようになりました。この点は同会が指摘する通り『性自認』を法制化してしまうと、悪意を持つ女性自認者を生み出しかねませんね」

その上で理解増進法案(自民党案)に 「自己の性別についての認識」 と説明文がついたのは「心外だ」と前出の自民党関係者は語る。

「対比表を見てください。自民党案の性同一性の定義には“自己の属する性別についての認識に関する斉一性の有無又は程度に係る意識 ”とあります。これを掲載してもらわないと」

実はこの文言には重要な要素が含まれている。

「『斉一性の有無又は程度に係る意識』とは分かりにくいですが、重要な文言です。要するに 昨日は男、今日は女、明後日は男ということはできない、また特定個人による性別判定ではなく社会がどう判断するのか、との性同一性の定義をこの一文で表現しています」(同前)

性同一性の構成要件として時間軸と社会軸がある。時間軸は生まれてから死ぬまで自身が自覚する性。社会軸は社会が判断する性。喉仏があり体毛が濃くて男性器があれば社会的にはまず男性と判断する他ない。自民党案はこの時間軸と社会軸を内包した。対して野党案にある「性自認」という文言は時間軸と社会軸を省いた。すなわち「昨日は男、今日は女、明後日は男」といった状況の温床になる。

「性同一性」という用語よりもとにかく「性自認」の使用を求める「圧力」も漂う。一部野党や活動家はNZ、性別変更手続き容易に トランスジェンダーらに朗報(時事通信12月9日)こういった状況を望んでいるのだろうか。

対して「 斉一性の有無又は程度に係る意識 」あるいは「性同一性」という文言を入れることによって悪意ある性自認者を規制した。

保守派からすれば自民党案はLGBTブームに便乗したイメージを抱いたかもしれないが、実は暴走する性自認に歯止めをかける内容だった。性別判定が困難で研究途上なのは事実だ。声の大きな活動家とは別に現実問題として悩むトランスジェンダーも存在する。この点は確かに慎重にならざるを得ない。しかし配慮と法律の運用における議論は別問題だ。

しかも法律のプロであっても「運用」について検討されているか謎である。

関東弁護士会連合会の2021年度「性別違和・性別不合があっても安心して暮らせる社会をつくるための宣言」によれば

4 国・地方自治体・民間企業は,個人が自らの性自認に基づいた性別で日常の社会生活を送ることは法律上保護された権利であることを自明のものとすべきであり,トイレの利用についても,支障なく性自認に基づいた利用ができるよう,トイレを利用する全ての者への理解を促し,トイレ利用の便宜や設置の改善等を積極的に行うこと。

同連合会の宣言文をそのままま解釈すれば性別判定は自己判断に委ねられてしまう。明らかな男性の女性自認者を容認することにならないか? この宣言文も声の大きな活動家を意識して作成されたに違いない。裏返せば法律のプロですら「性自認」の問題になると不思議な反応を示すものだ。

法案断念の裏に稲田朋美の功名心と利害関係?

本来は性自認の暴走に対する防波堤の意味があった自民党の理解増進法案。

結局は、野党との協議の上、合意案は理解増進法の意図よりも「骨抜きになった感は否めない。稲田さんが立法化のために功を焦ったとの見方が強い」(全国紙政治記者)との声もある。

「なにしろ稲田さんは“スタンドプレー ”の意識が強い人です。それは彼女の政治活動の原点にも表れています。沖縄戦集団自決は軍の命令と書いたのは名誉棄損だと訴えた『大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判』の原告弁護団に弁護士時代の稲田さんが加わりました。稲田さんはさる高名な歴史家に相談したところ“ 日本の司法が既存の歴史観を否定するような判決を出すはずがないし敗訴したら事実が確定するからやめなさい”と助言を受けました。それでも“大丈夫です ”と押し切った結果が敗訴。かえって大江氏と岩波書店を正当化させてしまいました」(同記者)

防衛大臣時代に発生した「自衛隊日報問題」の責任をとって辞任。その後、存在感が薄れていく中でLGBTに活路を見出したのか? 自民党案は性自認を抑制する法案だと保守層に向けて稲田自身が説明すべきだった。ところが法案は可決もしない上、支持者を少なからず失った感もある。

一時は安全保障問題にも関心を寄せた稲田氏だが何も軍事、経済、外交だけが安全保障ではない。悪意ある女性自認者が女性スペースに侵入しかねない状況は日常生活における安全保障。こうした視点で説得すれば保守派議員の「ノー」とはいえなかったはず。あるいは稲田氏自身が法案の意義を理解できていなかったかもしれない。

さらにこんな指摘も印象的。前出の政治記者は法案断念の背後に選挙対策の利害関係も見て取れるという。

「同類の法律として2016年に『部落差別の解消の推進に関する法律(部落差別解消推進法)』があります。同法は二階俊博前幹事長の意向が強く、二階派議員、門博文前衆議員議員(和歌山一区)が中心になりました。選挙が弱い門氏にとって世帯数が多い同和地区は有力な票田だったのはいうまでもありません。つまり自民党としては同和行政は票につながるという判断でした。ところがLGBT新法はノーだったわけでしょ? 図らずもLGBTは票にならないことを露呈したのです」

平素は安全保障と勇ましい自民党もこの有様だ。性自認問題は政治家が真剣に向け合わず活動家だけの主張や思惑だけで進めてしまえば 「昨日は男、今日は女、明後日は男」 という身勝手な自認者を生み出しかねない。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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【暴走する 性自認②】“ 自称女性”の 規制策「理解増進法案」を 骨抜きにした 稲田朋美の愚」への2件のフィードバック

  1. 匿名

    左翼は、LGBTへの差別問題では、
    「自分自身を偽るな」とか、「社会は彼らをありのまま受け入れろ」と言うくせに、なぜ部落問題では、同じ事を言わないんでしょうね。
    「実際に差別があるから、どこが部落だの、誰が部落出身だの言っちゃいけない」と言うなら、LGBTの人に「気持ち悪がられるから、カミングアウトなんかしちゃいけない」と言うのと同じだと思いますが。

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