今月3日、熱海市伊豆山地区で大規模な土石流が発生。土砂崩れの様子は地元住民らが撮影しSNS上に投稿すると瞬く間に拡散されていった。凄まじい勢いで家屋を飲みこむ光景は恐怖の一語だ。ツイッター上では投稿者にマスコミ取材が殺到する一方で、原因を問う声が相次いだ。伊豆山神社本宮隣の山林が太陽光発電の設置工事で開発され土砂崩れを引き起こしたとの批判も強い。そして株式会社新幹線ビルディングによる盛り土が土砂崩れをもたらしたとの声が殺到。同社は自由同和会神奈川県本部、天野二三男会長が社長だった。しかも新幹線ビルディングによる開発は熱海市議会も「同和案件」と認めていたから驚きである。
「同和系列の会社でございまして」
福井県高浜町元助役で部落解放同盟の役員だった故・森山栄治氏と関西電力の癒着、そして現在弊社が追跡取材中の津市相生町自治会長事件など同和に一切触れないマスコミの報道姿勢はもはや清々しさすら感じる。
さて同和団体といっても様々だが、今回の取材対象になるのは自由同和会。保守派の同和団体で自民党とも関係が深い。また会員は土木建設業者が多いことも特徴的である。当サイトでも過去、同会役員による事件を複数扱ってきたが、会員の中には暴力団出身者も少なからず存在する。
盛り土事業についての詳細は今後、追って報じるとしてまずは2007年8月7日、熱海市議会建設公営企業委員会の一幕を紹介する。このやり取りは本件の特徴を端的に表している。
この年は「平成19年台風第4号」が発生し各地に被害をもたらした。同委員会で被害について討議されていた。
◎浅見修水道温泉課長
熱海市議会会議録より
伊豆山七尾の土砂災害について御報告いたします。さきの7月15日の台風4号の影響で、土砂災害が起きました。その写真がですね、現場写真でございますけども、配水池、調圧槽の現在の状況でございます。下の写真は、調圧槽の上部崩壊のり面の状況でございます。
次の地図をちょっとごらんください。これは、伊豆山地区の七尾団地奥にある広大な山林地の図面でございます。現在の土地所有者は、新幹線ビルディング株式会社が所有しまして、宅地分譲開発を行っている敷地内に市の水道施設の調圧槽がございます。水色でかいてございますけども。その西側背面の山林斜面地の赤色部分が崩壊をいたしまして、調圧槽の一部が土砂と流木により埋没したものでございます。土地所有者には、土砂、流木の排除対応処理についてすぐにですね、お願い文書を出してありますが、よい返事はなく、いまだに動きがございません。今のところ、すぐに送水については影響はないんですが、再度土砂崩壊が進んだ場合には、機能が失われ、伊豆山地区の送水がストップしてしまうことになるため、今後市のほうで何らかの土砂の除却と、土のうによる仮設対応が必要になると思われます。以上が災害報告でございます。
そして米山秀夫委員から「七尾の土砂災害の土地所有者がすぐに行動しない向こう側の言い分は何ですか」との質問が出た。
同課長は「台風4号による自然災害というふうに考えておりまして、災害報告を一応したんですけども、災害のほうでお願い文書を出すことはできると、それ以上のことは強制的にはできないということでございます」と説明。
もちろんこれでは委員も納得しない。同委員は「ほかに理由はないですか、やろうとしない理由は。土地所有者側が」と続けた。すると驚きの回答が待っていた。
◎浅見修水道温泉課長
熱海市議会会議録より
新幹線ビルディングそのものがですね、同和系列の会社でございまして、ちょっと普通の民間会社と違いますので、その辺でそういうふうな回答が来たんだというふうに考えております。
果たして西日本の自治体でこれほどダイレクトな答弁ができただろうか。しかも「ちょっと普通の民間会社と違いますので」と単純明快に同和関係企業の何たるやを表現している。つまり同社による開発の弊害は熱海市行政としては周知の事実だった。今後は現地取材を通じて熱海市土砂災害を検証していく。