【森山栄治】解放同盟福井県連の要求書を読む【関電問題】

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By Jun mishina

関西電力役員らが福井県高浜町元助役・森山栄治(故人)から金品を受領していた問題で3月14日、同社は第三者委員会の報告書を公表。本サイトでも報じた通りだ。また本誌は2001年から2018年まで福井県庁と部落解放同盟福井県連の行政交渉記録を入手した。先の関電報告書とともに本記録を合わせて検証していくと、単に「森山―関電の闇」という以上に同和と行政・企業の異常な関係が読み取れる。この交渉記録を全公開するので、ご興味がある人はぜひ読んでみるといいだろう。

関電報告書で特に目を引いた文言がこれだ。

社内において人権研修を行うことが意義あるものであることは論を俟たないが、この人権研修が、関西電力において、森山氏の「先生」としての地位を関西電力役職員に広く知らしめ、かつ、根付かせることとなった一面があることは否定できない。

人権研修の問題点は随所に指摘されており、森山が増長したのは言うまでもない。この一文でも「先生」としての地位を関西電力役職員に広く知らしめ、と訴えている。先生との呼称は「人権研修」と表裏一体で、研修こそが森山を増長させたのは明白だ。ところがこの期に及んでも「人権研修を行うことが意義あるもの」と言えてしまう神経。あまりの当事者意識のなさに呆れてしまった。もっともこの感覚だから森山がつけ込むスキがあり、また人権ビジネス、解放運動家が介入できるわけだ。

とにかく「部落解放」「同和」という存在に直面した行政・企業というのはあまりに脆い。またこうした特性を最も理解しているのが「解放運動家」だ。そもそも自分たちがマウントポジション(相手より有利な状況)を取れるのをよく知っている。福井県庁の交渉記録はそうした態度がありありと伺える。

同特法執行前の行政交渉記録。とても貴重である。

2001年、同特法失効以前の貴重な資料も

行政交渉について 少し解説を加えておこう。 行政交渉は部落解放同盟の根幹をなす活動と言っていいだろう。運動体は「行政から勝ち取る」ことが最大のアイデンティティだ。交渉はおおかた年1~2回で記録が文書化され情報公開請求で閲覧できることもある。行政交渉自体は解放同盟だけではなく、労働組合、市民団体など様々だ。おおかた大勢で行政・企業の担当者を包囲する。解放同盟は地方の自治体と交渉する時は中央本部の役員と各都道府県の役員が出席する。これは上記の写真資料を見てもらえばよく分かるはずだ。

自治体は交渉記録を公開することがあっても要旨の箇条書きや要点をまとめたダイジェスト版の場合もある。ところが福井県庁では口調、言葉使いまで実に丁寧に記録してくれていた。人名など黒塗りというのは不満も残るが、それでも詳細な記録を公開してくれたのは感謝したい。当たり前のことだがそれができない自治体が多いということである。

それから今回、紹介する行政文書だが福井県庁には「解放同盟との交渉、要求の全て」という趣旨で請求していた。すると県庁からは「交渉」ではなく「意見交換会」という説明を受けた。あくまで何ら「要求」は受けていないというスタンスのようだが、なにしろ公開された文書に「要求書」とあるから面白い。不思議だったのが通常、こうした文書の保存期間はたいがい5年だが、なんと結果は2001年から2018年。これは予想外の成果だった。というのもご承知の通り、2002年に同和対策事業特別措置法が失効するわけだが、失効以前の交渉記録が読めるのだ。非常に貴重な資料であるのは言うまでもない。

さて読み進める上で下記のPDFを各位でダウンロードしてもらえると助かるが、一応ポイント部分を画像で抽出していく。

このたびの「全国大行動」とある。同特法の失効が近づくと各地で糾弾が増加した。いわゆるキャラバンというものだ。それから噴き出してしまったがこの「県行政の本当の誠意ある回答を」の部分。普通、お願いごとをする際に相手へ「誠意ある回答」と言うものか…あまりの不遜さに呆れてしまった。それから「来年法が切れる」とはもちろん同特法のことだ。

口のききかたが〇〇〇。

「あんたんとこええかっこして国連10年は取り組んでますねんとあんた説明してるけど」。気の毒にまともな社会人経験がないかもしれない。普通はこういう口のききかたはしない。まともな大人ならば…。ところで今回の開示文書は運動体側の名前は黒塗りだ。ただ「私も尼崎市の同対協に入っている」という文言は残っている。いずれ発言主は特定させて頂こう。

圧力がすごい。

なんとかの交渉術という雑学本にできそう…。

実態調査の実施を迫る交渉において最後は「今言うことは、わかったいうてええんとちゃうんか」だって・・。この念押しのやり方ってヤ・・なんとか。

お前呼ばわり。

どんどんヒートアップしてさらにぞんざいな口調に。若狭の殿様って…。このような記録文書で「少し語気を荒げて」ということはおそらく相当、激しい罵声が飛んだと思われる。

という具合で今後も定期的に資料的価値が高い部分、面白い部分などを紹介していくので読者諸氏もぜひ楽しんで頂きたい。

20191122_公文書一部公開決定通知書.pdf
2001710_部落問題解決に向けた福井県に対する要求書.pdf

20020802_部落問題の根本的な解決と福井県における人権政策確立に向けた要請書.pdf
20030711_同和行政についての懇談会の実施について(御依頼).pdf
20040620_同和行政についての懇談会の実施について(御依頼).pdf
20050714_同和行政についての懇談会の実施について(御依頼).pdf
20060703_同和行政・人権行政についての懇談会の実施について(ご依頼).pdf
20070626_福井県との懇談会の実施について(ご依頼).pdf
20080701_福井県との懇談会の実施について(ご依頼).pdf
20090701_福井県との懇談会の実施について(ご依頼).pdf
20100818_人権問題についての懇談会の申し入れ.pdf
20110906_人権問題についての懇談会の申し入れ.pdf
20120904_人権問題についての懇談会の申し入れ.pdf
20130912_人権問題についての懇談会の申し入れ.pdf
20140910_人権問題についての懇談会の申し入れ.pdf
20151013_人権問題についての懇談会の申し入れ.pdf
20161012_人権問題についての懇談会の申し入れ.pdf
20171012_人権問題についての懇談会の申し入れ.pdf
20180912_人権問題についての懇談会の申し入れ.pdf


Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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【森山栄治】解放同盟福井県連の要求書を読む【関電問題】」への5件のフィードバック

  1. 遠州屋

    全部はまだ読んでいませんが、興味深い記録です。恫喝の様子が想像できます。行政しろ、今回の関西電力にしろもっとこうした恫喝に対処する術を身につけておけばよかったと思います。部落解放同盟にすれば同和対策事業特別措置法の期限が迫る中、相当な危機感をもって「強請り・たかり」に邁進していた様子がうかがえます。

    返信
  2. 遠州屋

    福井県が積極的(黒塗りの部分があるにせよ)に公開したことは差別解消に向けた大きな前進ではないでしょうか。行政にも忸怩たる思いがあるものと推察されます。

    返信
    1. 三品純 投稿作成者

      決して悪意がある発言ではないのに執拗に言葉尻を捕らえるところとか
      暴力団みたいです。これを見て共産党を除く左派のみなさんは
      少しでもいいから感じ取るものがあってほしいです。

      返信
  3. 遠州屋

    以下、拝見させていただいた福井県の公開文書。示現舎さんは「あいつら」呼ばわりされてますね。
    示現舎さんは部落解放同盟からかなり恐れられている組織・団体と考えられます。
    応援しています。

    2018年9月12日 付
    人権問題についての懇談会の申し入れ(P.22~P.23)より抜粋

    (部落解放同盟の人)
    -略-
    それからもう一つ部落探訪ってご存知ですか。部落探訪。部落差別。

    (××人権室長)
    申し訳ありません、具体的な名前は忘れたんですけども、失念してしまったん ですけども、いくつかのホームページを見ております。

    (部落解放同盟の人)
    どことどこを見たんや。どことどこを見たん。

    (××人権室長)
    申し訳ありません。具体的にはわかりません。

    (部落解放同盟の人)
    知らんちゅうことか。知らんちゅうことやな。知らんなら知らんで結構ですよ。
    -略-
    全国部落調査に載ってるところ行って、写真撮って、ね、そしてそこを 何々地区ということでやってるわけや。もう100近くになってるわけや。
    -略-
    でこの全国部落調査にこれ6地区か7地区載ってるんでしょう福井が。
    必ずあいつら来ますよ。
    以下略

    返信