多摩、神奈川で増殖中 「トランプのお米」とは?

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By 宮部 龍彦

最近、東京の多摩地域と神奈川県の県央地域で自動販売機で売られている「トランプのお米」、あるいは「Trump Rice」なるものが、静かな話題となっている。現在「トランプのお米」でグーグル検索しても1つしか出てこず、「Trump Rice」で検索してもドナルド・トランプとライス元アメリカ国務長官の写真が出てくるだけだが、「Trump rice vending machine」で検索すると「トランプのお米」の画像がいくつか出て来るので、日本に来たアメリカ人の間でも少しずつ話題になっているようである。


ということで、「トランプのお米」が売られているという、座間市役所前にやってきた。問題の自販機の1つは座間市役所交差点にある。

自動販売機なので、24時間年中無休、しかも人件費がかからないという。確かに周辺のスーパーで買うより安い。グーグルマップで「ライスショップ新潟屋」で検索すると、少なくとも6件の店舗が確認できる。

買う方法は簡単で、ここに現金を入れてボタンを押すと、米の袋が出てくる「ドサッ」という音がする。

そして、出てきたのがこれだ。「おいしくて安全」と大書され、アメリカのドナルド・トランプ大統領が星条旗を背景に人差し指を立てて「食え!」とシャウトしている。なかなかのインパクトである。

要はアメリカ・カリフォルニア産の米で、日本の米とは違う「カルローズ」という品種らしい。見た目は日本の米とあまり違わないように見える。

ところで、今から20年以上前の1993年、記録的な冷夏で米が不作で、やむなく東南アジアから輸入された米が出回ったことがあった。主にタイから輸入されたために「タイ米」と呼ばれ、これがすこぶる不評だった。パサパサして美味しくない、変な臭いがすると、多くの米が捨てられて無駄にされた。

しかし、これは調理法に問題があったためだ。産地では日本のように米を炊くのではなく「茹でる」ことが多く、炒めて味付けした食べ方が一般的だ。すると、トランプの米なら、それに適した調理法があるはずだ。

早速、発売元の新潟屋に聞いてみると、案外そっけない答えだった。

「普通に炊いて頂いて結構ですが、ネットで調べるといろいろ出てきますよ」

ついでに、なんで「トランプのお米」なのか聞いてみた。

「名前はメーカーの方が付けたもので、やっぱりカリフォルニア米だからじゃないでしょうか。(トランプが)話題になってますし」

どうも、新潟屋ではなく輸入者がこの名前で売り出したらしい。

助言に従って、ネットでカルローズの調理方法を調べてみると、日本の米のようにしっかりと研いで水に浸してから炊くのではなく、さっと1回だけ洗ってすぐに炊くのがよいらしい。

ここは炊飯器を使わずに、あえて鍋で炊いてみた。この時点で、確かに日本の米とは違うことが分かった。昨今の日本のブランド米であれば、炊いている間にいかにも米という香りが漂ってくるのだが、トランプ米はそれがない。はるかに香りが薄いのである。

茶碗に盛って食べてみた。感想は、決して不味いことはなく、これはこれでアリなのでは、という感じである。炊き方の影響もあると思うが、1つ1つの粒がしっかりしており、弾力がある。もっちりではなく、プツプツとした感触だ。

白米で食べてもよいが、粒がしっかりしているのでチャーハンには向いてそうだし、寿司飯の用途にはむしろ日本の米よりも向いているかも知れない。

トランプ大統領と言えば、TPPにストップをかけるなど保護主義政策が批判されているが、もし自由貿易が推進され米の関税が安くなれば、これは日本の米にとって脅威となることだろう。おそるべしトランプのお米。

それにしても、カリフォルニア米が、むしろ日本での普及を阻んでいるトランプ大統領の名前で売られるとは皮肉な話だ。

宮部 龍彦 について

ジャーナリスト、ソフトウェアアーキテクト。信州大学工学部卒。 同和行政を中心とする地方行政のタブー、人権ビジネス、個人情報保護などの規制利権を研究している。「ネットの電話帳」管理人。

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