全国部落調査事件横浜地裁で最後の保全異議審尋が行われる

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By 宮部 龍彦

1月12日、横浜地裁で通算6回めの保全異議審尋が行われました。そして、今回が横浜地裁では最後の審尋ということになりました。書籍の件と、同和地区Wikiの件が一緒に行われました。

書籍の件について、以下の書面が双方から提出されました。

債務者準備書面A-H28-12-27.pdf
債務者証拠説明書A-H28-12-27.pdf
債務者準備書面A-H29-1-5.pdf
債務者証拠説明書A-H29-1-5.pdf
債権者準備書面A-H29-1-5..pdf

同和地区Wikiについては、以下の書面が双方から提出されました。

債務者準備書面B-H28-12-27.pdf
債務者証拠説明書B-H28-12-27.pdf
債権者準備書面B-H28-12-27.pdf
債務者準備書面B-H29-1-5.pdf
債務者証拠説明書B-H29-1-5.pdf
債権者準備書面B-H29-1-5..pdf
債権者準備書面B2-H29-1-5.pdf

今回からなぜか裁判官が交代になって、鹿子木康さんという裁判官です。

書籍の件について、示現舎側は「同和の会長」を提出して、改めて被差別部落出身者という解放同盟側の主張に根拠が無いことを示しました。また「地域改善対策協議会意見具申」を示して、出版禁止は部落差別の原因として挙げられている「同和問題についての自由な意見の潜在化」を助長することになる旨を主張しました。

同和地区Wikiの件について、解放同盟側はミラーサイトの「部落解放同盟関係人物一覧」が裁判の当事者目録に合わせて修正されていることを示して、示現舎側の仕業であると主張しましたが、示現舎側は当事者目録を入手できる者はむしろ解放同盟側の方が多いし、当初から人物一覧の作成に解放同盟内部の人間が関わっている可能性を主張しました。

さて、裁判所から示された人権教育・啓発白書については、示現舎側はおおむね次のことを答えておきました。

白書は書証として提出されたものではないので、本来は裁判の結果を左右するものではありません。ただ、あえて意見を述べるのであれば、法務省は「不当な差別的取扱いを誘発・助長する目的で」同和地区の場所を公開することを人権侵害としているのであって、示現舎は「不当な差別的取扱いを誘発・助長する目的」は持っていません。同和問題をめぐる人権侵犯事件の件数の推移を見ると、ずっと減少傾向で、同和地区の場所を公開すると人権侵犯事件が増えるとは言えません。

法務省は2016年の人権侵犯事件の統計を10月分まで公開していますが、これを精査すると全国部落調査がネットで公開されたこの年は人権侵犯事件が増えるどころかむしろ減っており、過去最少のペースです。

解放同盟側は、インターネット上での削除要請の件数は増えている、「インターネット上で、不当な差別的取扱いを助長・誘発する目的で特定の地域を同和地区であると指摘」する例を人権侵害事案として取り上げていることは正当、法務省の対策は相手方の任意の協力がなければ実効性がないので今回の仮処分が必要といったことを主張しています。

さて、今回は裁判官の交代があったことと、「争点が多い事案」なので、結論が出るまで時間がかかるそうです。具体的な期日は示されませんでしたが、概ね2ヶ月くらいを目標とするということなので、3月中旬頃には結論が出るということなのでしょう。

宮部 龍彦 について

ジャーナリスト、ソフトウェアアーキテクト。信州大学工学部卒。 同和行政を中心とする地方行政のタブー、人権ビジネス、個人情報保護などの規制利権を研究している。「ネットの電話帳」管理人。

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